bird's eye 〜グローバル視点を持つためのコラム〜

バックナンバー

2012-3-9

日本のDNAを持つグローバル研修を!
〜カルテルで455億円の罰金と幹部最長2年の収監となった矢崎総業から学ぶこと

オリンパス事件がまだ完全に終息していない今年の1月、矢崎総業とデンソーは米国での自動車用組み電線(ワイヤーハーネス)などの販売をめぐる反トラスト法(独占禁止法)違反で合計5億4800万ドル(約419億円)の罰金支払いに応じると「日経新聞」が報道しました。罰金額の内訳は、矢崎が4億7000万ドル(約359億円)、デンソーが7800万ドル(約60億円)。関与した矢崎の日本人幹部は最長2年間収監されるということです。矢崎は1月にも日本の公正取引委員会から同様の取引で約96億円の課徴金納付命令を受け、欧州委員会からも操作を受けているそうです。

 

矢崎総業を始め、日本企業の多くはグローバルビジネス研修プログラムを欧米の有名ビジネススクールに作ってもらい、社員を早期に海外に送り出せばグローバル人材が育つと信じているようですが、これはとんでもない間違いです。

これまで日本人はデイーズニーランドを米国から、キッザニアをメキシコから輸入し、TOEICは米国に作ってもらい、ユネスコのESD(10年の教育改革)を全国の学校組織に組み込み、今また国際バカロレアを輸入しています。この一連の欧米・外国依存の教育政策でぽっかり抜けているのは、日本人の魂、日本人のオリジナリテイ磨きです。

 

昨年の夏、ある日本を代表する大手企業の幹部の訪問を受けました。誰しもグローバル企業とみなしている会社です。ここもヨーロッパのビジネススクールから高価なグローバル研修プログラムを買ったそうですが、日本のDNAを持つグローバル企業を構築したいという目的とは当然ズレが感じられるということです。史上始めて“世界市場”が出現し、どの国の企業も自由に参画して市場原理に基づいて激しいビジネス競争をはじめて16年。良い意味でこの競争に勝つには、日本のDNAに根ざしたグローバル経営、日本的発想の次世代モデルの構築がカギです。それには日本人の才能を世界レベルに引き上げる研修が必要なこと、日本的価値や日本人が磨く必要がある能力をよく知る者が作ったオリジナルな研修が不可欠だということを一刻も早く知るべきではないでしょうか?

 

当社は世界市場の理解を、価値の中心をどこに置くかによって4つの文化コードにわけてグローバルビジネスをする場合の最重要知識と位置づけています。

95年以降国際機関はグローバル市場でのルールの一元化を縦軸として図ってきていますが、横軸である多様な国々からなる市場では“文化が違えばルールも違う”からです。これには何千年の知恵の結晶であるその国の“伝統”が関わっています。日本は人間関係中心の階層社会であるモラルコード圏に属し、ルールやノウ・ハウに価値の中心を置く米国のようなリーガルコード社会が構築したルール(企業統治など)を輸入してビジネスを行なっているのです。

 

これまでは「そこをなんとか」とか「大勢がやっていることだから」といって本来の土壌であるモラルコードと借り物のリーガルコードの差を取り繕ってきましたが、世界市場におけるフェアな競争のためのルールの強化がおきているグローバル時代の今、これまでの延長線上のやり方では問題を繰り返すだけだということがはっきりしてきました。世界市場において共有すべきルールはリーガルコードがベースになっているからです。抜本的改革をするには日本人はモラルコードの分量を減らし、リーガルコードの分量を増やす必要があります。つまりグローバルな視点から見て価値のバランスを良くして体質改善をしない限り、オリンパスや矢崎総業、そしてデンソーのように社員にコピー一枚とることや電気の使用を節約するよう強いる一方で、大きな財務的損失を課されるという愚かな経営をやめることはできないでしょう。

 

「<文化の世界地図>と世界のルール」という1日コースがあります。24年度から単独プログラムとして提供していきます。国内を含む世界市場でのルールの一元化と文化コードによるルールの違いを、これまで日本企業が海外で引き起こしてきた失敗事例とともに学ぶセミナです。重要だと思いながら大した宣伝もして来ませんでしたが、オリンパスや矢崎総業の衝撃的な“ルール違反”事件を知りますと、たった一日でリーガルコードを始めとする世界市場でのビジネスルールのエッセンスを叩きこむこのコースが、いかに貴重かをあらためて認識しました。新入社員から企業幹部まで、グローバルビジネスを目指すなら、まず何が何でも最初にとっていただきたい、日本人にとって最も必要なコースだと言えます。


(C)Ikuko Atsumi,2012, All Rights Reserved